※注意※ R-18のうえ、軽い小スカ表現があります。 苦手な方はご注意下さい。始終、互いが大好きな甘い二人です。 「もう本当に勘弁してくれ……」 「恋人同士なんだから何も恥ずかしい事なんてないですよ。ほら、出して」 「いやいやいやこれはそんな問題で済むことじゃないってかちんこに触るな握るなバニーちゃんの変態!!」 「おじさんの癖に、そうやって子供のように駄々こねないで下さい。萎える」 「お願いだから萎えておじさんもう恥ずかしくて死ねるから……」 身じろぎすら許さない力で背後から抱き竦め、男の大事な部分を人質よろしく握りながら溜息をついたのは、相棒兼恋人であるバーナビー。 いい加減諦めろと言わんばかりに鏡越しに呆れた眼差しを向けてくる彼は、バスルーム内にも関わらず眼鏡を掛けたままだ。 曇り止めは勿論のこと、防水・防塵・強度に優れ、軽くてフィット感抜群のそれを五つは持っていると以前話していたが 元来視力のよい虎徹には正直どうでもいい話だった。ただ、風呂に入る時くらいは眼鏡を取れと再三言っているのに、外すとよく見えないからと 渋るバーナビーに辟易しているのはここだけの秘密である。 さて、溜息をつきたいのはこっちだと、バスルームに反響するほどの音量で叫べば、ああうるさいと身体を戒める腕の力が強くなった。 既に布を取り払った互いの裸体が密着し、しっとりと濡れた肌が艶かしくてくらくらする。 (あーもー強く出られない自分にも腹が立つが、ありえねーだろぉ……) 虎徹は誰もが見惚れるであろう美貌を殴りたくて殴りたくて仕方が無かった。 しかし顔も立派な商売道具だと自他共に認め誉めそやす相貌を叩くことは出来ないから(相棒は怒ると怖いし、視聴率の為ならば悪魔に魂まで くれてやる某女史がうるさいのだ)、脳内で滑らかな頬に百叩きの刑を浴びせつつ、虎徹は半泣きの形相で背後を振り返った。 「なんです? やっとしたくなりました?」 さっきまで重たい溜息をついていた癖に視線が合った途端、小首を傾げて微笑んでくる彼は、今日もぶれないハンサムフェイスでとても上機嫌だった。 バスルームをたっぷりと満たす湯気で額に張り付く金髪、そのひと房から流れ落ちる水滴が整った鼻梁を通り、唇へと 吸い込まれてゆくのをつい目で追ってしまう。 何時見ても美人でハンサム、もう腐るほど見ているのに飽きがくる所か毎度見蕩れてしまう顔が、これほどまでに憎く思える日が来るなんて――。 久々の逢瀬である今晩、エロティックな展開はむしろ期待していた。 こうして二人きりで過ごす時間は、ここのところ仕事が忙しかった事もあり二週間ぶりだったのだ。虎徹手製のチャーハンを二人で食べて 時に笑い時にふれあい、ひとしきり恋人としてのくすぐったい時間を楽しんでから、どっぷり互いに溺れるだろう夜を 一緒に過ごすと約束した日から楽しみにしていたのに。 何がどうして彼は「虎徹さんがおしっこしている所、見たいです」なんて言ったのか。 若者の、と言うと世の若者に申し訳ないので、バーナビー・ブルックスJrの考えていることは、本当に判らない。 湯が出っぱなしのシャワーのせいで白く濁る視界がうっとおしい。だが、二人の頭から爪先までを映す目の前の大きな鏡と、背にくっついて離れない バーナビーの眼鏡だけは依然としてクリアで現状を歪み無く映している。 逃げ場がないことを改めて突きつけられた虎徹は長い嘆息を漏らし、救いを求めるように天井を見上げた。が、頭を傾けることで自然と背後の男の肩に 身を寄せる結果となり、意図せず甘えのひとつとなってしまった。 期待で満ちるグリーンの瞳がすぐさま覗き込み、虎徹さんと名を呼びながら顔中にキスをする男を止める術があるなら、是非とも教えて欲しい。 (あーあ、可愛すぎて止めらんねーわ……) さっきまでブーブー言っていたくせに、簡単に受け入れてしまう自分が情けない。 チュッチュと軽いキスを交わしながら何故このような憂き目に遭わなければならないのかと、一刻前、リビングでの出来事を虎徹は振り返っていた。 ⇒続き