「はぁ……」  雨って、何でこんなに憂鬱になるんだろう。  さっきから繰り返している溜息。判っているのに止められなくて、短時間の間にとんでもない回数になってる。  吐いても吐いても胸のもやもやは取れなくて、一層憂鬱を実感してしまう悪循環。止めようにも止まらない溜息は僕の意識化では制御出来ずに、  ひとつの生命体になったみたい……って考えたらそれはそれで気持ち悪い。 「はぁ……」  言ってる側から溜息もう一丁。掻き消すような激しい雨音がそれに重なった。  傘を叩く雨足は先程よりも心なしか強くなっているように思う。透明のビニール傘から仰ぎ見た空は真っ黒で、まだ止みそうな気配はない。  重く垂れ込めた雲が、更に憂鬱に拍車を掛ける始末。見なきゃ良かったとは後の祭りだ。  噴水のある公園で立ちぼうけをしているのは、僕一人。  傘を持っていなくて、急いで走っていく女性。降りだした雨の中で無邪気にはしゃぐ子供と、その子を窘めるお母さん。  諦めたようにびしょ濡れになりながら歩いている学生……その他にも結構な人数が僕の目の前を通っていった。  ここはセントラルの中心にある大きな通りだから、人数も半端じゃない。  アスファルトから盛大に跳ねた水が頬を打つ。きつい降りは周りのざわめきを掻き消して、雨音だけの世界を作り出す。なぜだか無性に一人ぼっちな気持ちになった。  それもこれも、全て雨の起こした憂鬱のせい。  今日の仕事が捗らないのも、ご飯が美味しく食べられないのも――兄さんを信じられなくなったのも。みんなみんな雨のせいだ。  ビニール傘から見た通りに、待ち望んでいる人の姿はない。 『仕事が終わったら噴水前に六時に集合! たまには外で飯食おうぜ』」  約束の時間から十分は過ぎても、言った張本人は行方知れずで不安になってくる。  愛想尽かしてすっぽかしているんじゃないか? 他の人とデートか? ……など、物事を全て悪いほうへと連想ゲームのように考えていくのを止められない。  十分くらいの遅れは多分居残りだ。過去に何度かあったから、今日もそうなんじゃないかと思う。  その時はこんな風に考える事無く「いつお疲れ様が言えるかな」などと、待たされた時間分、会うのが楽しみだったのに。  たった十分くらい普通に待てるのに。いつも愛していると囁いてくれる人だからこそ「そんな事ないと」言いたいけど……言い切れない。  これも全部、僕を憂鬱にさせる雨のせいだ。 「ジューンブライドって言葉あるけど、雨の多い六月にそんな事言うんだから、考えた人って、変わり者だよね」  僕には理解出来ない、幸せの伝説。こんな雨に幸せを求める人の気が知れないや。  はぁ……とまた溜息を吐いた時、ばしゃっと水を蹴る音がかすかに届いた。  視線を上げれば、元より真っ青だった制服が、雨に濡れ鮮やかな青に変化している軍服に包まれた男が現れた。  息せききらして駆けるその足元で泥水が高く上がり、裾全体を容赦なく汚している。――それだけ必至で走っている事だよね。  きっと僕がこの雨の中で待ってるだろうっって知っていたから……。 「兄さん!」  傘もささず、自分がどれだけびしょ濡れでも走って来てくれたた兄さんに、心が一気に温かくなった。  でも、顔を濡らす雨に負けずこちらへ向かってくる兄さんの姿に、罪悪感を覚える。 「アルフォンス! 急に残業入っちまって遅くなった。ごめんな、こんな雨の中、ひとりぼっちにしちまって」  目の前に来た兄さんは、ぺこりと腰を折って謝った。  頭を下げた拍子に、結った金色の髪束から水が垂れ、アスファルトに落ちていった。  謝る兄さんの姿に、ごめん、と心の中で謝った。  信じられなくて、ごめんなさい。 「……兄さんが悪いんじゃない、仕事なんだから」 「アル……」  僕の言葉にようやく顔を上げた兄さんの顔は、この雨の中走ってきたからか、血の気が引いて真っ白だった。  顔の立体にそって流れ落ちて行く雫が、頬の優麗なラインを辿っては地面に落ちる。  輝くばかりの金髪が、雨のせいでくすんだ色になっていた。 「! 兄さん、自分の心配を先にしてよ!」  今更だけど慌てて兄さんの方へ傘をさしだして、片方の空いた手で、見るからに冷えてそうな肌に触れた。  思った以上にそこは冷たくて、そのまま温めるようにさすった。 「アルが濡れちまうから、いいって。それよりメシ……」 「駄目! 早く帰らなきゃ風邪引くだろ、今日は帰ろ!」  有無を言わせないよう強めに言い放ったら、案外兄さんは素直に頷いてくれた。  背の高い兄さんが傘を持ち二人で入りながら、自分達の家を目指して歩く。 「ごめんな、アル」  しばらく黙って歩いていたら、兄さんがぽつりと呟いた。僕は兄さんを見上げ、にっこりを意識して笑いかけた。 「ん? 僕は兄さんがいればどこだっていいから。また次に行けばいいよ」  その言葉にようやく兄さんは笑顔を見せてくれた。傘を持たないほうの手で、僕の右手に触れてくる。  その手を握れば、更に嬉しそうに笑って、僕達は家まで手を繋いで歩いた。たまにぶんぶん振り回して、子供みたいにはしゃぐ。  人前で手を繋ぐのは好きじゃない。  でも今日は雨だし、人通りの多い通りは過ぎた。たまに通る人も、みんな自分達の事でいっぱいいっぱいみたいだ から、二人の事にまで気が回らないみたい。  今日くらいは、兄さんのあったかい手を満喫していてもいいよね?  ここぞとばかりにぎゅうぎゅうしたら、兄さんもそれ以上にぎゅっと握ってくれる。  雨に隔離された二人の秘密のような時間は、とても幸せで。  胸に巣くっていた憂鬱感は、気がついたら消えていた。 「また雨かぁ……」  軌跡を描く水滴を見ながら溜息一つ。ここ最近、雨を見ない日がないくらい、よく雨が降る。  日に日に重くなる憂鬱感にほんと、仕事が捗らなくてたまらない。朝から気持ちいいくらいの晴天だったから、今日こそは  溜まった仕事を片付ける気で出勤してみれば、昼から雨だし。  紙に滑らせていたペンの動きが止まり、僕は雨に釘付けになる。  憂鬱をもたらす雫は遠慮なく窓を濡らし、空の色からして止みそうに無い。打ち砕かれた希望から、また溜息が漏れる。 「アルフォンス君、大丈夫か?」 「え? あ、うん……じゃなくて、はい」  突然、横から声を掛けられた。  慌てて見れば、小脇に資料を抱えた同僚が僕を覗き込んでいた。青い瞳が心配そうに翳っているのを見て、仕事中にぼうっとしていた自分に気がつく。 「すいません、ぼうっとしちゃって」 「いや、いいんだけど。でも、さっきから溜息ばっかだぞ? 若いのに溜息ばっかついてたら、幸せ逃げるぞ」  冗談めかして言うその台詞に苦笑する。  大丈夫です、と言おうとした声に被り、低い声が室内に響いた。 「幸せが逃げても、また俺が幸せにしてやるよ」  ざわっと、室内が静かなざわめきに包まれる。頭上に落ちていた一つの影ともう一つのが重なり、更に濃さを増して机を黒く染める。  僕を覗き込んでいた同僚よりも高い位置から聞こえた声に反射的に顔を上げると、青い軍服に無造作に垂れた長い金髪が見えた。  更に上へ上がれば、不機嫌さを隠そうとしない顔に出会う。僕の顔がビックリという表情を作るのに、そう時間はかからなかった。 「た、大尉……どうされましたか?」  エドワード・エルリック大尉、兄さんだった。  かろうじて答えた僕に、無言で手にしていた書類を差し出す。そのまま受け取って目にすれば、変哲もない書類だった。これを僕の元に届けにきたんだ。  いきなりの上司……しかも、あの鋼の錬金術師が登場したとあって、所々から萎縮した雰囲気が伝わってくる。  そういえばドアの開く音が聞こえてこなかった。ここのドアは古くて、開閉には結構な音がする。どんなに集中していたって聞こえてくるそれが、  今回はまったく聞こえてこなかった。それは僕だけじゃなくて、周りの皆も同じみたいで、一様に驚いた顔をしながら遠巻きにこちらを伺っている。  さすが若き大尉、ドアの開閉も天才的ですね……と変な感心をしてしまう。  そういえば、心配してくれた同僚は……と、見渡せば彼はいつの間にか自分の席に向かっていて、やりかけだったらしい仕事に取り組んでいた。  ふう、とまた溜息をついて視線を書類に戻す。そんな僕を見下ろす、不機嫌な眼差し。ちりちりと焼けるような違和感がうなじを襲う。  そんな兄さんの不機嫌な態度に、すぐに思い至った。  だって生まれてからもうずっと側にいるんだから、大抵の事は判ってしまう。  兄さん、僕に話しかけていた同僚に嫉妬してたんだ。  って、一体何時からいたんだか……そう考えたら、不機嫌バリバリの兄さんが可愛くて仕方ない。  こっそり笑ってしまったら、気配で気がついたんだろう兄さんの「……なんだよ?」の言葉に「なにもありません」と  返し、目を通した書類にさらさらとサインをした。  すぐにでも渡して、帰っていただこうと思ったけど。  渡しかけた手を止め、しばし考えてからまた書類を戻し空いたスペースに文字を書き込んだ。そうしてから兄さんの手に渡す。 「確かに……ん?」  サインを確認していた兄さんの瞳が、大きく見開かれる。そうして書類を見ていた目が細められて、僕を見る。 "僕は兄さんが好きなんだから、気にしないで堂々としててよ" 「さんきゅ」  頭をふわりと撫でられて、兄さんは颯爽と出ていった。嬉しそうに揺れる背中に内心笑う。  ばたんと重たい音を立てて……入る時は本当、どうやって入ったんだろう?   そんな疑問を抱きながら出て行った後姿を見送った。仕事に取り掛かるべく、机に向かう。 「……もう、溜息しなくなったな」  その台詞に顔を上げれば、さっきの同僚が自分の机から声をかけていた。  そういえばあれから一時間、溜息ついてない。窓を伺えば、さっきまでと変わらない雨模様。静かな雨に憂鬱はもう湧いてこなかった。  兄さんに会えたからかな?  雨は一日中降り続いた。けど、今日はもう憂鬱にはならなかった。  本当によく雨は降る。昨日に続いて今日も降っていた。  しかも、残業が決まった時から降り始めたというバッドタイミング。外はもう真っ暗、濃い闇の匂いと雨で、憂鬱最高潮だ。  ぴかっと、一瞬の雷光の後、ゴロゴロと音が鳴った。雨だけでなく雷のオプション付き、結構な嵐のせいで仕事が終わってもすぐには帰れそうにない。  朝から晴れて、天気予報でも雨降るなんて言っていないのに。ただでさえ残業で気が重たいのに、これ以上仕事が遅くれて  帰りが遅くなると、兄さんも心配しちゃうよ。窓から伺う外の様子は、本当にひどいどしゃ降りで。傘を持って来ていない僕の  濡れ鼠姿は決定事項、帰ったらすぐ温かいお風呂に入らなくては風邪ひきそうだ。 「……兄さん、あーみえて不器用だしなぁ。ご飯、食べてるかな?」  うーんと背伸びしてペンを休めれば、浮かぶのは兄さんの顔。  大分前から残業があるって事を伝えてあったから、一応冷蔵庫に夕飯を置いてきたんだけど。面倒くさがって、そのまま食べてそうだし。  そ-いや、洗濯物も頼んだけど、ちゃんと入れてくれたかなぁ……なんて、早く仕事こなさなきゃ家に帰れないのに、兄さんのことばかり心配している。 「側にいないだけで考えちゃうんだもんな。僕も兄さんに負けず劣らずブラコンかも」  少し気がまぎれたけど、それも僅かな間だけ。また憂鬱な溜息を吐きながら、仕事を開始。  ペンを走らせては、走る稲光と闇のコントラストを束の間見つめて、また仕事する。集中力が上手く続かない僕の視線だけは、ペンより忙しい。  静か過ぎる部屋に雷鳴は煩くて、だんだん怖くなってくる。特に雷が苦手なわけじゃないのに。 「これも憂鬱のせいだ……早く帰ろう」  自分はまだまだ子供ってことだからかな? ってちょっぴり考えたけど、恥ずかしいから憂鬱のせいにしちゃって仕事に向き合った。 「やっと終わったー!」  とペンを放り歓喜に叫んだ途端、ゴロゴロっ! と大きな音が鳴り、ビックリして身体が大きく跳ねてしまった。  まだ雨は止んでなくて、さっきよりも心なしかひどくなっているように思う。  壁に掛かった時計を見ると、既に七時を過ぎていた。どうにも身が入らなくて手間取った仕事は、順調にいけば一時間もあれば  完遂することが出来たのに、二時間もかかっていたようだ。 「やばい、もうこんな時間」  立ち上がった椅子とドアが開いたのはほぼ同時の上。  タイミング良く響いた雷がそれらの音を打ち消したから、乱入者の存在に気がつくのが一瞬遅れてしまった。 「アル!」  気がついた時には、もう誰かの腕の中。パニックを起こす前に名前を呼ばれ、それが聞き知った人物のものだとわかったから、叫ぶことは免れたけれど。  ほっとしたら急に疲れがでちゃって、自分より大きな身体にもたれかかる。 「心臓に悪いよ、兄さん」 「お前遅過ぎ、兄ちゃん心配でいても立ってもいられなくて急いで迎えに来たんだ」  って、子供扱いしすぎなんだよ、いつも。  そう言いたかったけど、心の中で愚痴るだけに留めておいて、しばらくこうしていることにした。  走ってきたんだろう兄さんからは、うっすらと汗と雨が入り混じった匂いがしていた。ちょうど頬に当たる胸からはドクドクと  早鐘を打つ心臓があって、兄さんの言葉を確実に証明してる。ジーンズにサマーセーターという出で立ちの、柔らかなセーターの  胸元に顔を埋めて、やっぱり柔軟剤いれてよかったと、なんとも家庭的な意見が出てきて、笑ってしまった。 「なんかおかしい事言ったか?」  僕の気配に気がついた兄さんが、身体を離し屈んで覗き込んでくる。「なんでもない」と答えても笑い続ける僕に、  不思議そうな顔をして眺めていたけど、次第に兄さんの顔も緩んでそっと頭を撫でられた。 「もう仕事、終わったんだろ? 早く帰ろうぜ、腹減った」 「あれ? 冷蔵庫に夕飯入れてあったよね、食べてないの?」 「まーな。レンジ面倒だし、やっぱメシは一人より二人で食った方が美味いだろ」 「前半はなんとも兄さんらしいというか……後半は同意」  ホント、錬金術しか興味のない錬金術バカな兄さんらしいや。  笑いながらさっさと帰り支度を済ませ、入り口で待っている兄さんの元に向かった。一緒に出てくるだろうと思っていたから、  そのまま兄さんを素通りして廊下を歩いたけど、響くのは僕の足音だけで。いぶかしく思って振り返ったら、まだ兄さんは  入り口で突っ立っていた。その場から動こうとせず、ぼりぼりと頭を掻いている。 「どうしたの兄さん、お腹空いてるんでしょ?」 「……俺さ、なんか無性にアルに会いたくなったから、走って来たんだ」  そう言って大きく伸ばされた両腕が、ぴたりと宙で止まった。  まるで僕を待っているかのような腕に、兄さんの顔と腕に視線が行き来する。 「?……もしかして」  恐る恐る、兄さんと同じように両手を広げれば、妙に嬉しそうな笑みを貼り付けて首を立てに振った。  つまり、僕から胸に飛び込め、って事だよね?  兄さんは時々、こうして僕から甘えさせようとする。でもこれは、遠まわしな兄さんからの「甘え」なんだ。  甘えたいと口に出す人じゃないから、甘えたい時はこうやって僕を甘えさせようとする。僕が「甘える」事で、兄さんが「甘えて」るんだ。  散々人前で手は繋ぐは抱き締めたりするのに、さっきだって普通に抱き締めたくせに。  いざ二人きりになって向かい合えば、けして甘えを示さないんだよね。  そういう所が可愛くて、僕の目には甘えて見えるんだけど……可哀相だから、兄さんには秘密。  滅多にない事だし、ここは素直に抱き付く事にして。  来た道を引き返して兄さんの側に寄れば、すぐにぎゅっと抱き締められた。兄さんに抱き締められるの好きだし、ある意味、利害が一致してる。 「柄じゃねえんだけどさ。雨の日って無性に人恋しくなるんだよ。特に冷たい雨に降られた時とか、ぬくもりが欲しくなる」  ぼそっと囁かれた言葉に、僕は今日までの憂鬱を思い出して、気がついた。 「僕も、雨の日はすごく憂鬱になるんだ。でも毎回、兄さんと会ったら嘘のように消えてた……」  そう、確かに兄さんに会う度に憂鬱が消えてたんだ。遡って考えてみたら、僕が憂鬱になったのって、多分兄さんと  世間でいう「恋人同士」の関係になってからだった。兄弟としてずっと側にいて、どの世界の恋人達よりもずっとずっと  お互いの事を知っている自負はあれど、恋人としてはまだ未熟で。長いこと兄弟をしてきたおかげで、接し方で悩む時がある。  そばにいる事自体にはなんら変わりないけど、お菓子のように甘くてドキドキして、どうすればいいのか判らない。  兄さんの事が大好きだから、兄弟としての絆を超えた付き合いにどうしたらいいのか戸惑う。だからって諦めるつもりもないけれど。  楽しいだけじゃなくて、不安で泣きたくなる時もあるのが恋なんだよね? 多分、その不安が、雨に対して僕の持つイメージが  無意識下で繋がっていたから、雨を見たら思い起こされて憂鬱になっていたのかもしれない。現に兄さんに会っただけで、解消された。   もしかして、兄さんも一緒だったのかもしれない。いつも悠然として、包んでくれる兄さんだからこそ見せないだけで、  同じような事を思っていたのかも。  いつの間にか、憂鬱は消えていた。  でも、これからも不安に襲われることは何度だってあるだろう。  恋愛をしているんだもの、恋に不安はつきものだ。でもそういう時は、またこうして僕を抱き締めてね、兄さん。  少し背伸びして兄さんの頬に擦り寄れば、兄さんはくすぐったそうに笑って、自分からも触れてくれる。 「なんかアルが甘えるの珍しいな」 「兄さんもだよ……僕雨嫌いだったけど、好きになりそうな予感」  だってこうして、何も考えずに甘えられから。  囁いた僕に兄さんの吐息が近づいてきて、そっと瞼を閉じた。  一瞬の雷光に照らされた僕達の影が重なるのは、ちょっと先の未来――。                                               お題SS「雨」H17.9.11

 

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